第5章 お前と俺と
走って学校に着いたはいいけど、時間が早すぎてまだ部室が開いていない。
鍵を持ってる赤葦が来るまで待たなきゃいけないことを、着いてから思い出した。
「しゃーねえ、先に準備だけでもしとくか」
職員室で鍵を借りて、制服のまま体育館に入ると、1人で準備を始める。
ポールを立てて、ネットを取りに用具室に入った時、ガラッと体育館の扉が開く音がした。
赤葦もヤケに早いなあ、と用具室を出ると、扉の横には朝テレビ画面越しに見たの姿。
は俺の姿を見つけると駆け寄ってきた。
『木葉先輩っ!おはようございます!』
画面越しに見た落ち着いた雰囲気じゃなくて、いつもの元気なだ。
『あのっ、私っ、木葉先輩に言いたいことがたくさんあって…っ』
「ちょっ、ちょっと落ち着け、な?」
落ち着きのないを宥めると我に返ったのか、俺を見てにっこり笑う。
『木葉先輩、私…』
「っ!」
思ったより大きな声が出た俺にびっくりしてが固まる。
「その前にさ、言わなきゃいけない事があるんだ」
俺の言葉に、目の前のが小さく息を詰まらせたのがわかった。