第4章 一枚上手
〈時間もないので最後の質問です。この喜びを、誰に一番に伝えたいですか?〉
《そうですね…両親は会場に居たので、他には1人しか思いつきません。》
〈ずばり彼氏とか?〉
《いえ、私の片想いです。》
そんな会話が聞こえて、リビングを出ようとした俺はドアノブに手をかけたまま立ち止まってテレビを振り返る。
すると、テレビ画面いっぱいにアップに映ったと目が合う。
1ヶ月前と変わらない、真っ直ぐに俺を見つめる瞳。
《木葉秋紀先輩、今から貴方に会いに行きます。》
思わず泣きそうになった。
釣り合うとか釣り合わないとか、どうでもいい。
俺はが好きなんだ。
そして、も俺を好きだと言ってくれる。
それだけでいいんだ。
「えっ!?秋紀!?あんたこの子と知り合いなのっ!?」
慌てたような母親を無視して、俺は走って学校に向かった。