第3章 Loving you is Killing me. 前編
現場に着くと既に到着していたチョップマンが叫ぶ。
「タイガーさん!あそこに犯人がっ!」
大きくした手が、また、ひっかかって動けないらしい。
「おぅ!」
すると最近2部のヒーローになったばかりの千代紙トルネードが目に入る。
「千代紙ッ!足止めしろッ!」
「えっ?えっ!?あっ……はいっ!!!」
すると千代紙は大量の折り鶴を飛ばすと、飛ばした折り鶴で竜巻を起こし、犯人を取り囲んだ。
「うわっ!なんだ、これ!いてっ!!!」
折り鶴の竜巻で、前が見えなくなった犯人。しかも風速のついた折り鶴の尖った嘴と羽の先がジミに痛いらしい。
千代紙自身は、そこまで力がない。でも足止めさえしてくれたら、1分しかない俺のハンドレッドパワーでも充分間に合う。
俺はその竜巻が起こっている方へ向かいながらパワーを発動させ、一気に犯人を確保し警察へ引き渡した。
「千代紙っ!お前の能力、ほんと助かるよ!ありがとな」
グリグリッと、千代紙の頭を撫でる。
「いえっ!ワイルド先輩のお役に立てて光栄です!!!」
なんて可愛いことまで、言ってくれる。
「ははっ!お前なーワイルド先輩は、ないんじゃない?」
「タイガー先輩?」
「いや、先輩っても、俺らほぼ同期だろ?いいよ、俺そーいうの」
「でも……ふふっ」
最近はこの千代紙と和やかな雰囲気を過ごすのがお気に入りだ。
そんな一時を引き裂く大きな声が、俺達の間に入ってきた。
「虎徹さんっ!!!」