第20章 kiss the glasses 前編
「んん…………」
むぐむぐと、口を動かそうとするさんが、やっぱり可愛らしい。
「虎徹さんに……見られたくなかったんですか?」
頬を挟んでいた手を、少し緩めると
「……タイガーさんにじゃなくって、誰にも見られたくない……こんな……恥ずかしい……」
涙目になって言うさん……
「僕と一緒だと、恥ずかしいんですか?」
「?恥ずかしいのは、バーナビーさんでしょう?」
「どうしてですか?」
「だって……こんな……見た目だって冴えない……オバさん…………」
カツン
「……」
「……」
さっきから、小さな声で自分を否定ばかりするさんの口を……
黙らせようと思って……
キスをするつもりで、顔を近付けた……
のに……
先に、僕のメガネとさんのメガネが、キスをした。
そ、そうか……メガネなんてかけている人と、キスなんてしたことがなかったな……
サングラスも、室内では外すし……
「ははっ……僕もなんだか、子供みたいだ」
なんだか照れ臭くて、可笑しくて、思わず笑ってまった。
「えっ……えっ……」
さんは、何が起きたのか解っていないようだ。
「お互いがメガネをかけていると、キスするとき邪魔になること……初めて知りました」
「キ、キスっ!?」
「はい。貴女といると初めて知る事が沢山あって、楽しいんです、僕は」
「め、珍しいだけじゃ……」
やっぱり、アワアワと狼狽えるさん。
そして僕はさんのメガネを、そっと外して……
「もう黙って……
僕が初めて恋に落ちたのは、貴女だ……
……」
その後の事は、はっきり言って覚えていない。
きっと僕は浮かれていた。
初めて恋をした、teen-agerのように。
to be continued
このお話の続きはマイバディ久遠さまの
「君とならキスだけで【TIGER&BUNNY】」
『第20章 kiss the glasses 後編』で
お楽しみ下さい。