第19章 Just LOVE 前編
そう。いつでも、どこでも可愛い貴方が悪い。
そこは譲れない!!!
「いやいやいやいやいや……
待て、バニー!」
「待て?待てませんよ。僕は犬じゃない」
「んなこと、言ってねーだろ!?あっ!ほらっ!
お前、シュテルンビルトの王子様だろ?
こんなおっさんに、そんなさかんなくても…………んっ……」
煩い口は、塞ぐに限る。
クチュクチュと、少しはしたない水音を態とロッカールームに響き渡らせるように
舌を絡めてキスをすれば……
ほら、
もう虎徹さんは、顔を赤らめて濡れた瞳で僕を見上げてくる……
そして無言で見つめ合う。
「…………」
僕がもう一度キスをしようとすると、そのキスをさっと避けて、
僕にギュッと抱きついてきて……
僕の耳元で
「早く家に帰ろうぜ……」
あアアアーーーーッ!!!
僕の心臓を握り潰す気かっ!!!
このおじさんはっ!!!
「はいっ!!!行きますよ!おじさんっ!」
「だっ!お前、それ気に入ってるだろ!?」
「ふふ、バレました?」
「もういいよっ!何か買って早く帰ろうぜ!」
「はいっ!虎徹さんっ!」
そう呼ぶと、先に歩き出していた虎徹さんの足が止まった。
「……おぅ。行くぞ」
また顔を赤くして、今度は振り返ってくれる。
ふふふ、今夜の虎徹さんが、楽しみだな。
僕は軽い足取りで、先に歩き出していた虎徹さんの背中に追い付いた。