第1章 キスだけじゃ、我慢できない
ここはシュテルンビルト、ジャスティスタワー内にあるヒーロー専用トレーニングルーム。
祭日の今日は、朝からトレーニングに汗を流すヒーロー達が集まっていた。
「おはようございます」
爽やかな笑顔で挨拶をする、バニー。
「おはよう❤ハンサム」
朝から熱い視線を送るのは、ファイヤーエンブレムことネイサン……朝っぱらから濃いヤツだなァ……
「おはよう、そしておはよう」
スカイハイことキースがバニーに挨拶をしたあと、すぐ後ろにいた俺に挨拶をしてきた。
大きなあくびをしていた俺は、急いで挨拶を返す。
「はよっ……」
「何それ、声、ちっさ」
「んだよ。ねみぃんだよ……」
ブルーローズのカリーナからの突っこみも、どこか遠くに聞こえる……
「も~ぅ❤ハンサム、だめよぅ、お年寄りは労ってあげないと」
そう言って俺の尻を撫で上げる、ネイサン!!!
「バ!バカっ!!!何すんだよ!!!」
「やだ~❤何その反応❤可愛すぎるじゃな~い!ねぇっ?」
何故かカリーナに問いかけるネイサン……
「…………知らない」
その後の二人だけの会話は俺にはもう、聞こえなかった。
顔を赤くして下を向くカリーナの肩を抱いて、そっとネイサンが囁く。
「もうね、可哀想だけど諦めなさい」
「なっ……私は……」
女二人(?)が戯れているのを横目に、バニーと俺はランニングマシンに並んで立った。