第15章 How to A B C & ...!? 前編 A&B
「な、なぁ……バニーちゃん。ほんとに、ここで食べんの?」
「えぇ。そうですが、何か?」
今日は僕達が付き合い始めて、一ヶ月の記念日だ。
虎徹さんはそんなこと全く気付いていないだろうけど。
僕は高級フレンチの“個室”を予約していた。
しかも……
「先に前菜からメインまで、一度に持ってきて下さい。デザートは後からオーダーします」
なんて予約時に伝えておいた。
そう。
美味しい料理と美味しいお酒、そして虎徹さんと二人きりの時間。
これで僕達の仲をもっと一気に進展させるんだ!
「な、なんかもっと、こう……砕けた感じの居酒屋とかさ……」
まだ言ってる。
「ダメですよ。今日は。僕に任せて」
「そ、そうか……じゃあ」
僕に任せて、なんて言ってみたものの、先の展開は読めない。
でも、どうしても今日は二人きりになりたかったんだ!
向かい合わせに座る僕達の前に、料理が次々と運ばれてくる。
そしてワインを抜いて貰うと、やっと僕達は広い個室で二人きりになることができた。