第7章 dandelion ~love's oracle~ Ⅱ
「、……」
さんのお母様が優しく何度も呼び掛ける。
すると……
さんの目が、そっと開き……その目はある一点を見つめて止まった。
「お、かあさん……?」
「っ!!!」
「見えてる!見えてる!!!お母さん!お母さんっ!!!」
泣きながらお母様に抱きつくさんを、僕たちは神聖な気持ちで見ている……
するとその視線に気付いたさんが
「あ、ワイルドタイガー……と、貴方は……ライ……」
「いえ……僕は……」
さんが、初めて見る僕をライアンと間違えそうになった、その時……
「違う」
さんが、はっきり言うので
「え?」
思わず聞き返してしまった。
「貴方からは、お日様の……
お日様の匂いがしない……」
そう呟くとキョロキョロと辺りを見回すさん。
彼女は間違いなくライアンを探している。
「あの……ライアンは……?」
その時、彼女のお母様は、抱き締めていた腕をより一層強くした。
それは、少し離れていた僕たちにも
わかったんだ……
僕はさんの目が見えるようになったことを伝えるために、急いでライアンに電話をした。
けど、繋がらない。
だからメッセージを送ったんだ。
きっとライアンは信じている。さんの目が見えるようになったことを。
さんが見えない目で、それでもしっかりと、心の目で見ていたライアンを信じていたように。
二人の心と心は繋がっている。なのに……どうして……
既に機上の人になっていたのか、僕の送ったメッセージに“既読”の文字が付いたのは
その日の深夜を過ぎてからだった…………
to be continued...
このお話の続きは、私の大切なコラボ作者 久遠さまの
『君とならキスだけで【TIGER&BUNNY】』
第8章 「love's oracle ~dandelion~ Ⅱ」に続きます。