第5章 Loving you is Killing me.Ⅲ 前編
二人で今後の対応の相談をすると言うことで、僕たちはロイズさんのオフィスから出た。
「ライアン……貴方に話があるんだ……その……今夜、僕の部屋に来てくれないかな?」
「ふぅ~ん。ま、いいけどサ。イヤな話なら俺は聞かないぜ?」
「…………」
僕は黙って下を向いてしまった。
「ま、いいよ行くよ。初めてだな、アンタの家に行くの。楽しみにしてる」
「ライアン……」
「俺、今から外に出なきゃなんだわ。また後でな」
「はい。後で……」
それだけ言うとまたライアンは、こちらを振り返らずに僕の前から去って行く。
僕はライアンの背中を見送り、オフィスに戻ろうと振り返ると
「うわっ!」
そこには僕の後ろにピッタリと立つように千代紙さんがいて、僕を見上げていた。
「そんな所に立って……びっくりするじゃないですか……」
「決心した?助けてくれたから、お礼に教えてあげる」
「は?な、何を?」
まだドキドキとしている胸を押さえながら、聞き返した。
「私ね、誰が誰を好きか解るの。たぶん姉のNEXT能力にあてられて、自然についたモノなんだけど……」
「へ、へぇ……」
それが僕と何の関係があるんだ。
「逃げないで。バーナビーさんの本音でぶつかって」
千代紙さんはまた、2つの折紙を渡してくる。
「あと……先日はごめんなさい。顔に張り付けて……」
そしてペコリと頭を下げると、足早に去って行った……
僕の手の中には、ウサギとトラの折紙があった……