第5章 Loving you is Killing me.Ⅲ 前編
あれから、どれくらいたったのかな……
数日?数週間……?
日にちの感覚が全く戻らない。だけど一つハッキリとわかることがある。
こんな言い方、本当に失礼なんだけど……
ライアンって思ってた以上に
優しいんだ……
これなら本当に忘れること……
できるのかな……
いつの間にか僕の手は、キーボードの上で止まっていた。
「なぁ」
「なぁっ」
「なあっ!」
「え?」
「アンタいつまで、enterKey押してるつもり?いい加減うるさいんだけど?」
「あ……」
ピーーーーーー………………
「うわ、すいません」
僕は急いで指を離す。
「昨日、またムチャさせ過ぎちまったか?」
そう言いながら僕に近寄って来て、また、額にキスをするライアン。
「ライアン、ここオフィスですよっ」
「いいじゃん、今、誰もいないんだしさ」
「え?」
前の席を見ると確かに誰もいない。
「メガネのおばさんなら、さっきランチに行ったぜ?」
「……もう、そんな時間……」
何も進んでいないのに
時間だけが過ぎていた。