第6章 moron
「九条。」
「次は君?どうかしたの。」
次、ってことは、あすかが先程来たからだろう。
「あすかが泣いて帰って来たんだけど。」
「ごめん、それは僕のせい。」
顔を暗くして言っている辺り、反省はしているんだと思う。
「あすかもだけど、あんたも素直になりなよ。」
きょとん、としている九条はあすかと重なって見えた。
「本当は気付いてるんでしょ⁇
自分はアイドルだからって、気持ちに蓋をして隠し続けても無駄。
素直になったら⁇」
アイドルだから恋しちゃいけない、何て誰が決めたの⁇
私達はアイドルである前に、1人の人間なんだからそれくらいいいでしょ。
だから九条、自分の気持ちに嘘をつくのはもうやめな。
声には出さずに、心の中で願った。