第6章 moron
今何があったのか全部あすかから聞いた。
…やっぱり九条ね。
「私、嫌われたのかも。」
「そんなことないから。大丈夫。」
でも、とまた泣き出しそうになるあすかを宥めた。
あすかは泣き疲れてかすぐに私の腕の中で眠ってしまった。
…九条も、素直になればいいのに。
九条は明らかにあすかが好きだって、見てたら分かる。
あすかは鈍感だから気付いてないだろうけど。
八乙女も龍も気付いてると思う。
あの2人は分かりやすいから。
ここは、私が一肌ぬぎますか。
窓の外を見ると、まだ九条が外にいたから、
あすかを起こさないように静かに外に出た。