第6章 moron
「ううん、大丈夫だよ。」
天は安心したように頬を緩ませたが、
すぐに元の顔に戻して言った。
「あのことは、なかったことにしていいから。
…ファーストキス、取っちゃってごめん。」
…そんなのどうでもいい。
天にとってあのキスは、なかったことにできるようなことなの⁇
…なんで。
「…バカ…」
「…え⁇」
「…なかったことになんて、できる訳ないじゃんっ…
!」
天にとって、あのキスは何だったの⁇
私の反応が面白かったからしたの⁇
1人で浮かれて、バカみたいじゃんか。
天は何か言いたそうな顔をしていたけど、
私はその場にいるのが辛くて部屋まで駆け出した。
…天はきっと、私に興味がないから
キスして、あんなこと言ったんだ。
…バカ。