第4章 progress
さっきの暗い雰囲気とは裏腹に、
部屋中にはおいしそうな匂いが広がっていた。
「はい!召し上がれ。」
楽が天はオムライスが好きだ―って聞いたから、とあすかは
僕の好物のオムライスを作ってくれた。
「ん、おいしい。」
あすかのオムライスは、
昔母が作ってくれたオムライスに似ている懐かしい味だった。
よかった、と微笑む彼女は先ほどの笑顔と違い
心から笑っているようで安心した。
たまに寂しそうな顔をする彼女を
守ってあげたいなんて、思ってしまう僕はやっぱりおかしい。
今日は、ご飯をごちそうになってから少ししてお開きすることにした。
またね、と彼女の家を去ろうとしたら、彼女が寂しそうな顔をするから、
思わず彼女を抱きしめてしまった。
「えっちょ、天っ…」
顔を真っ赤にして照れた彼女を見て満足した後、
「またくるね。」
と頭を撫でてあすかの家を後にした。
彼女を抱きしめたのは、安心させたかったのともう一つ、
彼女に少しでも、触れたかった。
なんてね、