第4章 progress
あすかの家は防犯設備の整ったマンションだった。
「ご飯作るから寛いでていいよー」
なんて彼女は簡単に言うけれど、
女性の家で寛げなんて言われても戸惑う一方だった。
こんな広い家に1人で住んでいるのか、と疑問に思った僕は問いかけていた。
「…一人暮らしなの⁇」
「うん、両親は私が中学生の頃に亡くなったから。」
でももう慣れたよ、と言うが、
無神経なことを聞いてしまい申し訳なかった。
そんな顔しないで、と笑う彼女の今にも消えてしまいそうな儚い笑顔を
今の僕は、見ていることしかできなかった。