第4章 progress
話が盛り上がっていくと同時に、成人組の飲む量も早まり
十さんに至っては既にべろんべろんだった。
「あすかちゃんの歌声透き通ってて大好きなんだよね〜…」
Canereの曲歌おうよーと誘いかけ、
零ちゃんもノリノリで一緒に歌いだす始末。
零ちゃんが楽しんでるのは安心だけど、
二日酔いとか大丈夫なのかな。
零ちゃんと十さんに比べて、楽さんは表情一つ変えず飲み進めていた。
「楽さんお酒強いんですね。」
龍と零が酔いやすいんだよ、
とまた一口お酒を口にする楽さんはすごい色っぽい…
あ、あと、と続けて
「敬語とさん付け禁止な。」
先輩命令だからなー、と
付け加えられてしまってはどうしようもない。
ふと、黙々と箸を進めていた九条さんの料理が目に入った。
「九条さんの、美味しそうですね。」
僕も別に敬語じゃなくていいよ、あすかも食べる⁇と聞かれて少し戸惑ってしまった。
すると九条さ…天は私の考えていることを悟ったのか、
可愛いことをしてきた。
「はい、あーん。」
…あの笑顔で、このセリフは本当にずるいと思う。
もうどうにでもなれ!とパクっと口にしたものの、
恥ずかしさで味なんて分からなかった。
「どう?」
「…美味しい。」
それはよかった、といたずらっぽい笑みをこぼす彼は憎めない。