第3章 担任の授業見学に巻き込まれたのですが。
「宿題やったけど持ってくるの忘れました~」
にやにやと薄ら笑いを浮かべながら、いや残念だなぁ~とのたまう泥田。
本当はそんなこと思ってもないだろ。
顔に書いてあるぞ。
そんなバレバレな嘘、神酒に通じるワケが...。
「せやったら寮まで取りに行っといで」
往復十五分位やろ?と満面の笑みを浮かべる神酒。
やれやれ、この学校は全寮制だってこの間自分で言っただろ。
話の流れ的に教室の外に出るハメになった泥田。
ぱたんと閉まる戸は何処か虚しさを醸し出していた。
こんなはずじゃなかった。
そんな泥田の心の声が聞こえた気がした。
結局後に引けなくなった泥田。
コイツも自業自得だな。
だから宿題はやってこいっつーの。
入道 side end
晴明 side
泥田君に宿題を取りに行かせると、神酒先生はほな先に授業始めますえとおっしゃって授業を開始した。
(うひゃ~、凄いな神酒先生。毅然としてるなぁ~)
その立ち振る舞いはさすが教師といったところだ。
僕にはない、堂々とした態度。
いいなぁ。僕もあんな風になれるかなぁ。
まあ、神酒先生みたいになるには相当程遠いだろう。
(僕なんて泣いて頼むのが精一杯だもんな。こないだも...)
回想
授業に入る前に宿題の提出を言うと秋雨君が、宿題忘れたー!と叫んだ。
それも悪びれもなく。
えっ!そんなに難しい内容じゃなかったよね!?
その様子だと、そもそもやってないね!?
宿題を忘れた秋雨君に放課後残ってやるよう言うと、てかさ別に宿題なんてやんなくてもいいだろー?と返された。
そんな訳にはいかないんだよ!
こっちとしても引くわけにはいかないので、妥協案として次の授業で今日の分もまとめて提出することを提案してみた。
それでもやっぱりやりたくないみたい。
宿題やる意味分かんねー、とさらに文句を言う。
でも提出物って成績に関わるから、提出しないと秋雨君が後悔することになっちゃう。
というより、僕を困らせて楽しんでるね!?
ニヤニヤしてるのバレてるからね!?
こ、こうなったら!
「秋雨くぅぅぅん、明日こそは宿題やってきておくれよおぉォォォ頼むよおおぉぉぉオオオォォォォ」
やるって言ってくれるまで、足にへばりついてやるんだい!
えっえっとボロ泣きしながら引っ付く僕に、羞恥心がカンストしたのか、分かったよ!と叫んだ。