第3章 担任の授業見学に巻き込まれたのですが。
「やる!!やるから放せって!!みんな見てんだろ!!連々、楽助けろよ!」
自分だけ恥ずかしいのは嫌だったらしく、きょろと周りを見て爆笑しながら傍観している入道君と無表情で見ている九十九さんに助けを求めていた。
「自業自得だってーの!」
「やだ」
あっけなく断る一番の友達二人に、さらに青ざめる秋雨君。あまりの光景(主に僕の奇行)に、何アレーと女子にはくすくす笑われ。男子にはギャハハハハハと盛大に笑われ。
それでも泣きながらへばりつく僕に秋雨君は恥ずかしかっただろうけど、僕としてはちゃんと宿題をやってきて欲しい一心だったんだよっ。
伝わったかな?
回想終わり
(でも秋雨君、あれ以来真面目に宿題やってきて偉いぞっ☆)
はっ、ついついウインクしてしまった。
でも嬉しいよねぇ。僕の頼み方はどうであれ、宿題やってくるようになったんだもん。
どうやら他の教科でもちゃんと宿題をやるようになったみたい。うんうん、いいことだ!
何かにぞわっとしたのか尻尾の毛を逆立たせ、勢いよく振り返る秋雨君。ん?どうしたの?
挙動不審な秋雨君をガン無視して、ほな進めるでと教科書を取り出す神酒先生。
「はい、教科書開いて。18ページ『妖怪の種類と近代化にと伴う変化』から」
みんな神酒先生の指示に従って、意外と厚みのある教科書を開く。開かれたページにはたくさんの妖怪が描かれていた。
「へぇ~、妖怪に種類とかあるんだ...」
普通にのっぺらぼうとか、一つ目小僧とかそういう種類じゃないんだ。初知り!
どんな感じの種類なんだろうと首を傾げていると、神酒先生は黒板にさらさら書き始めた。
「めっちゃ大雑把に分けると、無機物妖怪、動物妖怪、人型妖怪の三種に分けられる」
そっか!なるほど!
柳田君は一反木綿だから無機物妖怪。秋雨君は猫又だから動物妖怪。座敷さんは座敷わらしだから人型妖怪ってことか!
じゃあ九十九さんはどうなんだろう。
人型妖怪っぽいけど、三味線の付喪神だから無機物妖怪になるのかな?
というか。よく考えたら、付喪神ってそもそも無機物妖怪だよね...。
「まあ近年は人間社会の発達によって住み良いように人型に化けてる子ぉのが多いんやけどね」
そうだなぁ。僕のクラスの子達も動物妖怪だったり無機物妖怪だったりするけど、ほとんどが人の姿してるもんね。