第3章 担任の授業見学に巻き込まれたのですが。
言うなよ!って感じのことって言いたくなるよな。てなわけで悪いな。
「あ、先生。狢(むじな)が宿題忘れたってよ」
あえて神酒に聞こえる声量で言った。
先週言ってたじゃんとニヤニヤしながら言えばあっさりキレ、俺の顎をむんずと掴んだ。
「何サラッとチクってんだコラァ...」
その目二つにしてやろうか、と呟き目潰しの構えをとる狢(むじな)は分かってんだろうか。
俺の右隣を見ろ。見ろよ。
顎を掴まれたまま、どの道バレんだろと言えばさらに力を込めて睨んできた。
いや、自業自得だろうよ。そして止めろ。楽が凄い顔でこっち見てんぞ。気づけよ。
「ねえ狢(むじな)」
不意に呼ばれた狢(むじな)はちらと俺の右隣を見る。
俺の隣で奴を親の仇と言わんばかりに睨みつける楽にようやく気づいたみたいで、怒りは吹き飛んだらしい。
真っ青になっていた。
狢(むじな)をこれでもかってくらい睨めつける楽。
指を動かし妖術を使い、青ざめる狢(むじな)を弦でキュッと絞める。
よーし楽、もうちょい絞めてやれ。
反省してもらわなきゃな。
ほげっと叫んだ奴は、自分をきゅうきゅうと絞める弦のあまりの強さに青かった顔が白くなってきた。
そろそろいいかなー。
「ほな放課後残ってやってもらおか~」
成敗される狢(むじな)の様子をひとしきり見て満足したのか、神酒はすんなり引き下がった。
神酒が引き下がったのを見た楽は、般若の如く顰めていた顔を無表情に戻し、狢(むじな)をシメていた弦を仕舞った。
解放されて安心したのか、お、おめーのせいだぞと捨て台詞を残し、絶望ですと言いたげな顔をする狢(むじな)。
いやだから自業自得だっつーの。
忘れたお前が悪い、と言えば楽とハモった。
やっぱ考えることは一緒なんだな。
それに比べて楽。
ちらと見たが宿題のプリントは綺麗な字でびっちりと埋めてあった。さすが。
「フッ」
俺の後ろで泥田が悪どい笑みを浮かべてるから、良からぬことでも考えているんだろう。
その様子だとお前も忘れたんだな。全く、宿題くらいちゃんとやれよ。
以下泥田の心境
愚かなアフロめ...!!
ここで自分が宿題やってないマヌケと認めてどうする。
↑同じく宿題やってないマヌケ
こういう時は、これが正解なんだよ!!!