第2章 全員揃わないのですが。
次の日―
「は~」
朝からため息は出っぱなしだ。
昨日の寝る間際から、今日起きてずっと。
あの不登校二人が、きちんと登校してくれるか不安だった。
「九十九さんは多分大丈夫だよね...。でも座敷さん昨日は行くって言ってたけど、本当に来てくれるかな...」
もしかしてその場しのぎで言ったんじゃ...。
僕の中の不安が新たな不安とくっついて、だんだん大きな雪だるまみたいになっていく。今、春なのになぁ。
また一つ大きなため息をつき、教室の戸を開けた。
「みんな、おはよう」
もう登校しているクラスのみんなに挨拶して、きょろと教室を見渡すけど例の二人の姿はなかった。
「あ...、やっぱり来てない...」
昨日の放課後、頑張って説得したのに...。
座敷さんはともかく、九十九さんもか!!
やっぱり駄目だったのかな...。嫌だったのかな...。
座敷さんは投げやりな返事で、それに比べ九十九さんは嬉しそうだったのに。
しょんと落ち込んでいると、真後ろからちょっと、と声がかかる。
もしや、と勢いよく振り返る。
「通れないんだけど」
後ろにいたのは座敷さんだった。
「ざ...、座敷さん...!!来てくれたんだ...!!」
良かった!僕の苦労は報われた...!
あ、でも九十九さん...。いや、今は座敷さんだ!
「わあああっ、セーラーに赤のパーカーもいいね!」
さすがは僕!僕の見立ては間違ってなかった!
太ももまである綺麗な黒髪を縛らず、だらしなくしているけどそれが逆に可愛く見える。
赤のパーカーとあいまって、黒と赤のコントラストはもはや芸術といえるッ!
ふと、視線を下げたとき、何か見てはいけないものが視界に入る。
「!?」
こ、これは!
「そ...そんな...。スカートの下にズボンなんて...」
せっかくセーラー服が似合ってるのにッ。
あまりの衝撃に幽霊みたいに真っ白になってしまう。
そんな僕の様子を見た座敷さんは。
「何、心霊写真みたいになってんだよ」
まるでゴミを見るかのような目で僕を見る。
だ、だって!!
「こんな屈辱、生まれて初めてだ!!!」
「何言ってんのコイツ」
本格的にゴミを見る目で見られようと、屈辱は屈辱なんだ!
スカートの下にジャージなんてッ...!
ショック過ぎて、涙が止まらない。