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妖怪学校なのに、担任が人間なんですが。

第2章 全員揃わないのですが。


こくりと頷いてくれる彼女の素直なこと。
こんなにいい子が僕の受け持ったクラスの生徒だなんて。
最高かよ。張り切っちゃうよ!

「明日、学校で待ってるね!」

これで弍年参組のクラス写真が撮れるよ!良かったぁ。
泥田君たちの言った通り、座敷さんより九十九さんの方が大変だったな。
九十九さん本人というより、九十九さんの祖父母がだけどね。
でも、九十九さん嬉しそう。目の錯覚なんだろうけど、なんか後ろに花が見えるような...。

「うん」

いや、見間違いじゃないな。ひらひら舞ってる。
無表情のわりに喜んでる九十九さんをほのぼのと見ていると、部屋の立派な壁掛け時計がボーンと大きな音を立てた。
説得に随分時間がかかっていたみたいで、気づけばもう21時だ。
そろそろお暇しますね、と伝えて玄関へ向かう。

「じゃあ、お邪魔しました」

玄関先で挨拶して帰ろうとすると、空澄羅(あすら)さんに呼び止められた。

「ありがとうございました」

見事なぬばたまの髪を揺らし、頭を下げる彼女は涙ぐんでいた。
嬉しさとか寂しさとか。色々押し寄せるんだろうなぁ。
そんな空澄羅(あすら)さんの肩に腕を回し、優しく撫でる翡翠さん。
諦めたような、負けを認めたようなそんな顔は、哀愁を孕んでいた。彼女を慰めながら、こちらを見てフッと笑った。

「謹慎自体は解けていたからな。引っ越しがあるからすぐに、とはいかんだろうが、また会いに来い」

そうか。ここ謹慎部屋だもんね。でも何処に引っ越すんだろう?
それにしても、こんな短時間で会ったばかりの他人と仲良くなれるなんて初めてな気がする。
会いに来ていいって。嬉しいなぁ。

「はい!」

また連絡する、と笑む彼とまだ泣き笑いの空澄羅(あすら)さんに、おやすみなさいと伝える。

なんだかとっても濃い放課後だったなぁ。
いや、長い一日だったって言うべきなのかな。

自室へ移動する最中、今日一日を振り返る。

たった一枚のクラス写真を撮るために、座敷さんと九十九さんの説得...。いろいろ死ぬかと思った。
あ、でも九十九さんは翡翠さんと空澄羅(あすら)さんの説得か。
我ながら頑張った...。
先生ってこんなに大変なんだ。

明日からもっと頑張らなきゃ。
座敷さんと九十九さん、ちゃんと来てくれるといいなぁ。
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