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妖怪学校なのに、担任が人間なんですが。

第2章 全員揃わないのですが。


どう見てもおばあちゃんなんかじゃない顔を顰め、僕を見ていた琥珀は目蓋に覆われてしまった。
彼女は苦しそうに、息苦しそうにぽつりと言った。

「こんなことをしたって、楽のためにはならないって。分かってはいるの。だけど」

「だ、大丈夫です!」

ふと、思い出した。
そういえば、学園長(正しくは佐野君)から聞いたような...。僕には退魔の力があるとかないとか。
それが本当だとするなら、大丈夫だ。きっと。

「え?」

「僕がいます!」

困惑する空澄羅(あすら)さんと、こいつは馬鹿なのかという顔をしている翡翠さん。
な、なんかプロポーズみたいな一言になっちゃったな...。

「僕も今まで知らなかったんですけど、学園長(正しくは佐野君)から聞いたんです。僕には退魔の力があるって」

人間相手には最弱でも、妖怪相手には最強なんだって。
学園長(の話を聞いてた佐野君)から聞いたんだ。
コンビニの入り口でたむろしてる不良と、僕を脅かしてくる妖怪。
どっちが怖いって聞かれたら勿論!不良だ。だって、怖いんだもん!無理ィ!
じゃなくて!

「もし暴走してしまったとしても、僕が妖力を祓ってしまえば大丈夫です!」

大丈夫って言ってから、あることに気づいた。
付喪神って、力の源は妖力なのか?ってこと。神力とか霊力とかだったら無理なんじゃない?!。
でも翡翠さんの反応を見る限り、大丈夫そうだ。

「そうか、大丈夫なのか...」

僕を視線だけで殺せるんじゃないかってくらい睨んでいた彼の表情は、すっぽり抜け落ちたように無になった。
いや、無というよりはうっすら安心が滲んでいた。

「はい、大丈夫です!」

ここはもう吹っ切って、笑顔で断言してしまうことにした。
そんな僕を見て、にやと悪どい笑みを浮かべた翡翠さんは、分かったと言って空澄羅(あすら)さんの肩を抱く。

「ではその言葉、信じるぞ」

長かった説得が報われる一言が、ついに貰えた!
ネガティブ思考でモヤモヤしていた気持ちが、一気に晴れていくような気さえした。

「し、信じてください!」

「...。分かった、信じよう」

悪どい笑みから、見守るような笑みに変わる。
それは、翡翠さんと空澄羅(あすら)さんから信用を得たということ。
誰かから信用を得るって、こんなに嬉しいことなんだ。
あ!これでクラス写真が撮れる!やったぁ!
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