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夢操り屋 凛 第二章

第2章 優しい心。


小林さんには仲の良い祖父母がいたが、
二年前に祖父が他界し、残された祖母が
認知症を発症した事。

「もうほとんどの事を忘れてしまったんですけど、
 時々…私を祖父と間違えて、昔もらった花の話を
 するんです。嬉しそうに。」

「何の事だか分からなかったんですけど…、
 思い出したんです。3歳くらいの時、祖母がよく
 散歩に連れて行ってくれた所があって…。
 そこには、綺麗でいい香りのするお花がいっぱい
 咲いていて…。」

「その事ばかり考えてたら、夢を見たんです。
 その場所に行った時の夢。…でも、3歳くらいの
 記憶のうえに、途中おんぶしてもらったりで、
 その場所が何処なのかハッキリしないんです。
 でも、その場所にその花がまだ咲いているのなら、
 もう一度プレゼントしてあげたいんです。」

そう言ってうつむいてしまった彼女の肩に、
浩二君がポンポンッと慰めるように手を置いた。
…あっ!また…隙あれば触るんやから…
…なんか、モヤモヤするんやけど…

「そっかぁ。んで、真琴ちゃんは、その場所を
 どうしても知りたい、と…。まかしとき。
 凛に見て来てもろたらええわ。
 優しい心の持ち主やなぁ…真琴ちゃんは。」

口を開こうとした私に…小林さんは、

「凛先輩。お願いします。
 どうしても、あの場所が知りたいんです。」
…と深々とお辞儀をしていた。

「あ~。もう、任せなさい。」
おもわず立ち上がって答えていた。
…先輩って言葉にこんなに威力があるなんて…

そんな私の心を見透かしたように、
浩二君がニヤニヤと私を見ていた。

(あ~そうよ。私はどうせ…困っている子を
 放っとかれへんのよ。)

この前浩二君が言ってた事を思い出していた。

…私だって、優しい心の持ち主だって
誰か慰めて欲しいわ…。











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