第62章 【一松ルート】デカい猫保護しました
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「ん、一松?」
「………スゥ……」
いつの間にか恋人に後ろから抱き締められ動けぬままナス子は目を覚ます。
「寝ちゃったのか、一松がいるって事はカラ松は帰ったのかな?」
寝ている一松の力が緩んでいる事に気づくと、体勢を変え恋人の方に向き直った。
寝顔が可愛くてキュンとしてしまい、思わず顔が綻ぶ。
「…………ふふふふふ、可愛いなぁ、もう」
寝こみを襲うように唇にキスをして、離れてまたニヤける。
一緒にいて落ち着く、大好きな恋人。
そんな彼は今は家出をして自分の家に永久就職するとかぬかしてきたのだが、ナス子は満更でもなかった。
驚いたには驚いたが、いつもより一緒にいる時間が増えるというのはとても嬉しい事で、ドクドクと鼓動を鳴らしながら愛しい視線を送る。
「………ん」
少し寝顔を観察していたが、その視線に気づかれたのか一松の目が薄く開いた。
「へへへ、おはよう一松」
「ん、おはよう」
どちらともなく顔を吸い寄せられてキスを交わす。
布団でくっついている為、徐々に口付けは深くなるが、珍しく一松の方から顔を離した。
「? 一松、どうしたの?」
「………いや、別に」
布団の中なのに何もしてこない恋人を不思議に思ったが、そんな日もあっていいだろう、と少しだけ残念に思う気持ちを抱きつつナス子は起き上る。
「ご飯食べる?」
「あー、もうそんな時間?」
「時間経つの早いよねぇ、もう夜だよ! 外暗い事にビックリした~」
「いつも寝てグータラしてるお前が言うセリフじゃないよね」
「うっさいわ」