第62章 【一松ルート】デカい猫保護しました
「そんなの俺だってわかるよぉ? わかってるけどさ~……でもこれって、お前がする事じゃないんじゃないの?」
「? どういう事だ?」
「だーかーらー!! ここはアイツが変わらないといけないんだって言ってんの! 言わせんなよなぁ」
「一松が?」
「そう、本当にナス子が好きだってんなら俺から無理に奪い取るでもしないと俺だって腹の虫が治まらないって言うの?」
おそ松の言葉を聞き目が丸くなる。
あんなにクソでダメでどうしようもない長男がそんな事を考えていたなんて……と口も自然と開いてしまった。
「おい、なんだよその顔ぉ!!」
「い、いや……まさかお前の口からそんなマトモな意見が出るとは思わなかった」
「お前、一松の事甘やかしすぎ! 俺達はアイツに好きなやつを奪われたのと一緒よ~? まぁ、選んだのはナス子本人なんだけどさぁ、悔しくね?」
「そっ、それは……」
おそ松は起き上るとニッと口端を上げてカラ松を見る。
「そろそろアイツも、弟じゃなく男として成長しなきゃならないんじゃないのぉ? だからこの件はお前はなんもすんなって! 大丈夫大丈夫~、この鍵使って変な事しようなんてちょっとしか思ってないからさ~~なははははは」
「ちょっとでもダメだろう!」
任せろと言ったものの、男として……と言う言葉を聞くと至極真っ当な意見だとカラ松は思ってしまう。
ここで自分が取り返したとして、確かに意味がないような気がした。
「なるほど、一人の立派な男として……か」
「そそ、アイツがどこまで俺に手出し出来んのかはわかんねぇけどな~! なはははははは」
「それなら、俺の出番はないな」
カラ松もおそ松につられて笑う。
兄二人は弟の成長を期待しながら、結局釣り堀に行くのだった。
勿論、カラ松の奢りで…………。