第61章 【微エロ】【おそ松ルート】松野おそ松はしつこい
なんという馬鹿すぎる話なんだろう。
どうやら、おそ松がさっき持ってきた角砂糖。
いや、角砂糖らしきモノ。
その名も、まぐねっと薬。
名前の通り、体自体が磁石になって金属を引き寄せてしまうようになる……
ということではなくて、2つある薬をそれぞれ飲んだ者同士が、磁石のN極とS極のように引き合ってしまうということらしい。
「なんでそんなもの……ってかもう薬ネタいいよ!! もう二回やってるよ!!」
「そんなわけで、薬が切れるまで俺とお前は離れられませぇん。 ヤッタなぁナス子、ずぅっと一緒にいられるよぉ?」
「なにが?! 私仕事行かなきゃいけないのに、あ! やったぁ! 仕事休めるじゃんっ! ……じゃねぇぇええ!!」
「実はちょっと嬉しいだろお前」
嬉しくないこともないけど、急に休むと職場とスタッフに迷惑がかかるから極力避けたい事態であることは間違いない。
せめて遅くても前日に連絡が出来ていれば……と思うが、そんなこと今更思っても遅すぎる。
色々実験したけど、せいぜい離れられるのは二人して頑張って1m前後。
それも、どちらかが踏ん張りをやめると途端に引き寄せられてしまう。
体のどこかが触れていればそれ以上引き合うことはないようだけど、不便この上ない。
「いつきれるの?! この薬!!」
「さぁ? 知らね」
「おい! 無責任にもほどがあるんですけど?!」
「責任という言葉から逃げ続けて20年以上になります!」
「威張るなクソが━━━━━━━!!!」
色々考えたけど、連絡は遅くなれば遅くなるほど迷惑がかかるし、ここはもう諦めて急病ということにして、本当に申し訳なく思いながら泣く泣く職場に連絡をして、その日は休むという選択肢しか、私には残っていなかった。