第58章 【R18】【チョロ松ルート】その後
「…あ!!……あああぁ、くっそ! すっかり忘れてたぁぁ」
「なははははは、やっぱり必要ないって事じゃーん! これの存在忘れてるなら別にいらないよねぇ?」
ニヤニヤとした表情はそのままに、勝手にナス子のカップを取ると珈琲を飲まれてしまう。
「あ、ちょっと!! ったく、クソ生意気な…」
全て一気に飲み干したおそ松は、ナス子の向いに座る。
今日は何をしに来たのだろうか、チョロ松と付き合った後何故か今まで毎日のようにしつこくしてきていた六つ子ラッシュも少し落ち着いたが、相変わらずちょくちょくは皆遊びに来てはいる。
普通彼氏持ちが他の男を家に上げるのは一般常識的に考えてどうかとも思うが、コイツらは六つ子で幼馴染、弟のような存在。
おそ松はチョロ松の兄だし、他のヤツだって兄やら弟やらなので気にしていない。
「で、今日は何? またお金でもせびりに来たんですかぁ~?」
ジトリとした目で見てやると、返す予定のないスペアキーを自分のポケットに仕舞い、一瞬真面目な顔をしておそ松が答える。
「ナス子、アイツはシコ松だ…あんなヤツと付き合っててもお前絶対幸せになんてなれないよ? もっとさー、他の男にも目を向けてみたらどう?! いい男なんておっぱ…違った! いっぱいいるぜ? 例えば目の前に!!」
「………はぁ」
「まさかの溜息?!!」
意味のわからない褒め薬からの報復はまだ健在なのかとナス子は呆れる。
たまにこんなセリフをおそ松や他の兄弟達も言ってくるようになった。
からかっているからと言って今は弟のチョロ松と自分は真剣に付き合っているのだから、こんな冗談はやめて欲しいとナス子は思う。
「ほんっとこの性質の悪い冗談はいつまで続く訳? 私はもうチョロ松という彼氏がいるんだからやめてよね!」
「え~、だから冗談じゃないっていつも言ってるだろ? それにそのチョロ松がまだお前に何もして来ないんだったらさ、俺達にもチャンスはあるよねぇ~っ」
・・・自分が悩んでいた事をおそ松に言われると、途端げんなりした気持ちが込み上げてきた。