第56章 【R18】【一松ルート】その後
その一松の表情を拗ねた顔で訝し気に、下に組み敷かれたままの相手はジトリと睨み上げてきた。
「質問の答え聞いてないんですけど~?」
「えっ?えええ、ええっと・・・なんだっけ?」
「? どうしたの? 急にそんなにどもって」
こんな至近距離で顔を覗き込まれても困るとばかりに目を逸らすも、ガシリと頬を掴まれて無理やり顔を正面に向かされてしまう。
「なんだよ?!」
「いや、こっちの台詞なんだけどっ!」
一方のナス子は今のこの状態をどう思っているのだろうか・・・、一松自身がパニックを起こしている為確認したくても上手く確認が出来ないと言うか、目を合わせる事が出来ず視線だけ外した。
「もー・・・やっぱ素直じゃないよね、あんたは」
「・・・それも今更ですね」
早鐘を打つ心が静まらないまま、呆れた声が下から聞こえると、早速嫌われたらどうしようと言う感情に一松は支配され、そろりと赤い顔のまま汗を垂らし、眉を顰めてナス子の表情を伺う。
「・・・ねぇ、ナス子・・・なんで顔赤いの?」
「っそれ、今言うかな?! こんな状態で聞くかな?!」
先程までパニックを起こし、相手の表情など伺う所ではなかったが、少し落ち着いてよく見るとナス子の表情も真っ赤だった事に気づき、失くしそうになった自信がまたも立ち上がる。
「く・・・くくっ・・・お前のそういう顔見るの初めてじゃない?」
「~~~っ、見んな!」
ナス子は一松の目を隠し両手で視界を塞ぐ。
余裕がなかったのがお互い様だと気づくと、途端自分にも余裕が生まれてくる。
二人マイナス思考の持ち主だからか、二人が二人の様子を伺いながら会話をしているようにも見えた。