第55章 【逆ハールート】その後
やっと解放されたおそ松も顔を洗いタオルでそれを拭きながら戻ってくるとナス子の前に6人が横に揃って正座で前に並んだ。
「・・・・なにこの配列? 昨日のいじめみたいな囲み方じゃないだけいいけどさ・・・」
まだ気分が良くないナス子はいつもより覇気がなくも、壁にもたれかかったまま六つ子に視線を向ける。
おそ松が息をスっと吸い込み、同時に他の5人も同じ動作をするとキレイに6人が口を揃えて真面目な顔で言葉を告げる。
「「「「「「付き合って下さい!」」」」」」
そして見事な揃った土下座を前にナス子は目を見開き顔を上げない相手達をキョロキョロと眺めた。
「━━━━━━は・・・あの・・・?」
緊張の間が空いたが、言われた言葉を理解すると脈が速くなっていくのがわかる。
青白い顔だったものも今はきっと真っ赤に違いない。
ただ驚いたのは全員一緒に告白をしてきたという事だ。
6人の気持ちには気づいてはいたのだが、こうも改まってハッキリ言われるとさすがに驚きを隠せない。
「・・・とっ! とりあえず皆顔上げてくれない、かな? 私どうしたらいいかわかんないんだけど・・・」
「ヤだね! ナス子がOKって言うまでは顔上げないから!」
おそ松のこんな土下座をする姿を見るのは金を借りに来た時くらいなものだ。
毎度のように自分を馬鹿にしてくるコイツがこうも自分相手に必至になっていると思うと緊張するし調子が狂う。
「ナス子、俺・・・いや、俺たちは本気だ、本気でお前の事を愛してる! だからこそOKの言葉が聞けない限りはここを一歩も動く事は出来ないっ」
カラ松も続けて床に額をつけたままだがいつものイタイ台詞などはどこにもなく真面目だからと言って怒ってる様子もなくただただ一生懸命に言葉を伝えてくれているのがわかった。