第7章 ラーメン食べよう〜六つ子と私
店員さんが大きなお盆から一つ一つ器をテーブルに置いていくと、誰も何も言ってないのに黙々とカラ松が皆の前に器を移動させる。
カラ松、一言も発してなくない?え、どうした?
痛い発言も聞いてないし、むしろ今気が利いたことしたし。
「カラ松、具合でも悪いの? なんか静かじゃない?」
「え? ああ・・・実はかくかくしかじかあって、全然腹減ってないんだ・・・フッ、だが、皆がどうしてもと言うんでな、そこまで言われちゃ優しいオレとしては断りきれずこうしてここに」
「「「「「「いただきま〜〜す」」」」」」
「え・・・?」
全員揃ってズルズルとラーメンをすする。
う〜〜〜〜ん、美味しい!
・・・ラーメン食べてる時ってさ、カニ食べてる時ほどじゃないけど、静かにならない?
今の私たちがまさにそれ。
さっきまで騒がしかったのに、今はただ皆真剣にラーメンをすすっている。
「・・・・・・・・ッは〜〜〜、美味しいっ」
その静寂をやぶったのは、私だった。
「美味いっ! 美味いよーー!!」
「んん、んまいなぁ! この店当たりじゃね?」
「うん、結構イケるね。美味しい」
「・・・・・・・・・ウマイね」
「オシャレって感じのお店じゃないけど、うん、美味しいっ」
「正直満腹だったが、意外といけてしまうな・・・」
口々に味の感想を漏らすと、また黙って食べ始める。
美味しいもの食べてる時は黙っちゃうもんなんだな人間って・・・