第55章 【逆ハールート】その後
「オハヨウゴザイマス、ていうか起きてた? 絶対起きてたよねっ、君達寝起きそんなに良かったっけ?!・・・あぁ、声上げたら頭痛が・・・・・・」
額に手を当て一瞬クラリとした頭を押えているも、正面に寝ていたおそ松が目を瞑ったまま起き上り、ナス子に問答無用で抱き着いた。
「ぎゃぁ! ちょっと急になにすんのおそ松!! 離れろーっ」
「んー・・・ぐー」
「・・・え、寝てる? 寝てるのこれ?! 寝相どうなってるの?!」
「フッ、童貞と言う本能が寝ていても尚レディを求めそうさせているのだろうな・・・しかし、抜け駆けだぞおそまぁつ」
「僕らだってもうコイツの恋人な訳だし、独り占めするのはズルイよねぇ?」
「え、こっここ恋人ぉ?」
「・・・両想いなんだからそうなんじゃないの? あ、でも昨日言った事はもう一度言ってよね じゃないと納得出来ないから」
おそ松の寝相は大したものだ、一体コイツの本能と言うのはどうなっているのだろうかとまた頭を抱えたがチョロ松によりおそ松の体をどこから出したのかわからない縄でグルグル巻きにされた為、事無きを得た。
「酔ってたとしてもちゃんと言ったでしょ? あんな言葉素面で私が言える訳ないじゃーん!」
「じゃあ、もっかい飲む?」
「いや一松、飲ませたら結局昨日の二の舞になってまた僕らが死ぬ事になる過程がわかるんだけど!」
飲むと言う言葉を聞くと、また気分が悪くなり、水を飲みたかった事を思い出す。
立ち上がろうとするが目の前にコップを差し出されて視線を上げる。
「はい、お水だよ! おはようナス子姉さん♪ 顔色悪いけど大丈夫? 何飲んだか知らないけどお酒弱いんだから気を付けないと」
「おはよう、トド松 ありがとう・・・これ本当に水だよね?」
さすがにもう騙されないとばかりに出されたコップを見て匂いを嗅ぎながら疑いにかかるも、一口だけ口に含み中身が水である事を確認するとホっとしてそれを飲んだ。
「やだなぁ、ぼくってそんなに信用ないの~? ぼくは兄さん達と違って変な物飲ませたりお酒勧めたりなんかしないよ~」
いや、お前ら全員で褒め薬飲ませたよね?
と思うも突っ込む気力もなく無言でコップに口をつけている。