第55章 【逆ハールート】その後
それぞれを見て、まだ二日酔いと言う気持ち悪さも混ざり青白くも赤くなる顔で六つ子を見ていると、その中の一人が目を擦りながら上体を起こす。
目があった瞬間、またもドクリと強く脈打つ。
まだ少し眠たげに目を細めているが、向けられた視線に気づくと相手はパッと笑顔に変わった。
「あぁ、シス・・・ナス子! モ〜ニン! よく眠れたか? 寝起きのお前もキューティだぜ、ん〜?」
寝起きからよくそんなすぐにクソなキメ顔が出来るな、と関心しながらも苦笑しつつ挨拶を返す。
「あ、おはようカラ松・・・昨夜はその、ごめんね?」
「? 何を謝っているんだ?」
口に出された言葉の意味がわからないと言うように、カラ松は首を傾げるも、すぐ隣で寝ていたチョロ松も目を覚まし、半身を起こしながら目を擦っている。
「ふぁ〜・・・あれじゃない? 昨日酔っ払って自我を失った事で自己嫌悪にでも陥ってるんじゃないの? やっぱり昨日僕が止めて正解だったろ? おはようナス子」
「気持ちの代弁をありがとう、おはようチョロ松・・・」
考えている事などさもお見通しかのようにチョロ松が代弁すると、ナス子は膝を抱え顎を乗せながら二人を見た。
「自我は失ったけど、言った事は・・・ほ、本当だよ? あと、あの時二人が止めてくれたお陰で死にたくなるような自己嫌悪にまでは落ちなくて済んだよ! ありっありがとう!」
「言った事とは? 何か聞いたか、チョロ松?」
「さぁ、こういうのは口に出してちゃんと言ってもらわないとわからないよねぇ?」
起きたばかりだと言うのに、二人目配せをすると、早速口端を上げ悪戯な表情でナス子に向き直る。
「ぐ・・・相変わらずムカつくなぁ、アンタ達は・・・」
「・・・でも、そういうのは酒ナシの状態で言ってもらわないと信じられないよね、だって鈍くて馬鹿なお前が相手な訳だし・・・あぁ、おはよう」
ムクリと一松が起き上がり、またも眠そうに目を擦り大きな欠伸をし、ナス子の顔を見て目を据わらせたまま淡々と喋った。