第55章 【逆ハールート】その後
あくる日の朝、ナス子はグロッキーにも目を覚ました。
よろりと状態を起こし、頭を押えると若干の吐き気と共に立ち上がる。
「う゛、酒の力は偉大だったけど調子乗りすぎた・・・水」
体をフラつかせながらも、隣人に預けている愛猫を迎えに行こうと襖を開けるが、一瞬だけ忘れていた事を目の前の光景を見て思い出す。
視線の先には━━━━━━━━━━
寝相でごちゃごちゃな様子の松野家六つ子が勢揃いして雑魚寝をしていた。
「・・・━━━━━あぁ、そうだった」
昨日、自分は酔っ払った勢いで自分の気持ちを全員にカミングアウトしたのだ。
そしてその後、盛大に口からリバースをして六つ子を置き去りに先に寝たのだった。
グラリと揺れる思考の中、昨日の出来事を思い返す。
「・・・・・・・・・・ふっ、やっちまったな」
まだグータラに寝ている松達を見て、気持ちがドクドクと熱くなるも、昨日の自分を思い返すと自己嫌悪に陥ってくる。
「ぐ・・・わかってる、わかってるんだよ、昨日の自分がもう壊滅的に気持ち悪かった事とか・・・! でも本気で言った訳だし別に嘘はついてないと言うか・・・いや、でもしかし、さすがに酔ってたからと言ってあんな言葉や行動を私がいくら好きな人達相手だからって・・・ブツブツ」
自己嫌悪とグロッキーに追い込まれ独り言をもらすと、雑魚寝する兄弟達を見ながらヘタリと座り込む。
襖に寄りかかり、頭を抱えながら自分の大好きな人達を眺めた。
やはりこの気持ちは嘘ではないと再確認する。
一人一人に視線を向けてもドキドキしている。愛しい、会えて嬉しい、大好きだ。
本当の本当に捕まってしまった。