第53章 【微エロ・逆ハールート】欲張り
「そういや、アイツらも最近姉さんに会えないー!つってたなぁ」
「あ、あー・・・ハハハァ、それは私のせいでぇす!」
泣きながら笑って手を挙げるナス子は最早完全に酔っ払いのそれである。
「姉さんのせい? 会いたいつってんのになんで会わねぇんだ? 会いたいなら会えばいいだろ?」
それを言われてしまうと途端にまた笑顔が消えてしまい、コテリとデコをテーブルにぶつける。
少し冷たくなったテーブルの温度が熱くなってしまった体にちょうどいい。
「会うのがぁ~~~・・・怖い~」
「・・・なんで?・・・・・会いたいなら会えばいいのに」
「だぁかぁらぁ、会ったらぁ、もぉ~~~~っと好きぃ~ってなっちゃうもん」
「別によくな~い? 俺は万々歳なんだけどぉ? 会ってみたら違うかもよ! なぁ?」
不意にチビ太の雰囲気と声色が少し変わった気がするが、ナス子は気にせずテーブルに顔をグリグリと伏せて質問に答え続ける。
「でも、もしかしたらぁ~困らせちゃうかもしれないし・・・」
「好きってなったらダメなのぉ? ボクは嬉しいけどなー!」
それに一人称まで変わっている。
しかし酔っ払いはもうその事に気づかない。
しかも下を向いている為、目の前を見る事もしないので急にチビ太が変な事を言い出した事に反論した。
「ダメじゃないけどさぁ・・・失礼じゃん・・・みんなだぁいすき~って」
「選べない訳ね? まぁ、なんとなくそんな気はしてたけどね僕は」
今日のチビ太はコロコロ喋り方が変わるなぁとも思うが、もしかしたらこれは会いたいと思った自分が酔っ払ってチビ太の声を彼らに変換してしまっているのだと思った。