第53章 【微エロ・逆ハールート】欲張り
「うん、やっぱりチビ太の店は安心するねー!」
「ケッ、何言ってんだよ!そんな事言って、姉さんてんでこっちに遊びに来ねぇじゃねぇか」
屋台の雰囲気とチビ太の存在に癒されているナス子だが、仕事を始めてからと言うもの、中々時間が合わずチビ太に会いには来れなかった。
たまに六つ子からの差し入れでチビ太のおでんは貰ってはいたのだが、こうして二人で対面するのは本当に久しぶりの事である。
「ごめんごめん、仕事の事情で時間が合わなくなっちゃって来たくても来れなかったんだよ~!」
「知ってるよ、いっつもアイツらが愚痴ってるからな! 姉さんもあんなヤツらに惚れられちまって大変だよなぁー・・・ほらよ」
眉を顰めながらも、チビ太はナス子の好きなおでんの具を勝手にひょいひょいと皿に乗せ目の前に差し出してくれた。
「ありがとう、チビ太・・・私の好きなもの覚えててくれたんだ?!」
「ケケっ、あんなに美味そうにおでん食うやつの好きなモンをオイラが忘れるかってんでぃ!冷めないうちに食っちまいな!」
最近悩んでばかりのナス子だったが、チビ太の優しさに胸が熱くなるとはんぺんを箸でとりフゥフゥと冷ましながら口に頬張る。
その懐かしい味に、じんわりと涙が零れそうになった。
「ん・・・チビ太のおでんは日本一だわー!! 今まで食べてきた中でいっちばん美味しいよねっ」
「ば、バーローてやんでぇ!大人をからかうんじゃねぇやい!・・・って、姉さんも大人か!ははははは」
「ふふっ、あのさ・・・チビ太。 その、さっき言った惚れ・・・惚れ・・・たってやつ・・・」
はんぺんをもぐもぐと食べながらも、少し気まずそうに上に視線だけ向けると、だいたいの察しはつきつつもチビ太に質問をかける。
アイツらと言うのは、確実にあのお騒がせ問題六つ子達だろう。
「あれ?!まさか姉さんアイツらの気持ち知らなかった・・・? やっべ、これはアイツらに謝んないとだな・・・いや、いいか、溜まったツケの仕返しだコンチクショー」
「ぶふっ! ははは、やっぱり大人になってもチビ太はチビ太だー!!はははははは」