第53章 【微エロ・逆ハールート】欲張り
あの日のナス子は今まで見た事のない、困ったような恥ずかしそうな表情で顔を真っ赤に染め皆を見上げていた。
その表情に、全員の胸が締め付けられたのは言うまでもない。
その表情を思い出しながら、なんとなくスペアキーを片手に弄んでいたおそ松だったが、決意した顔でスクリと立ち上がる。
「なぁ~お前ら! 俺達ってこんなぐちゃぐちゃ悩むような奴らじゃなくね?! ていうか俺がそんなキャラじゃないよね! だってさぁ、俺長男でおそ松だよぉ? おそ松ってそんな事しないでしょぉ? 悩むのはパチンコの台と馬券買う時だけで十分っ」
「アホな長男に賛同するのは癪ではあるが、俺もそう思っていた・・・悩むなんて俺の性には合わない、そう、合わないんだ! そしてそのような文字は俺の辞書には含まれてはいなーい!ハハァン」
「はぁ、結局そうなる? やっぱりお前らってクズだよね? でも皆が行くって言うなら僕も参加しなくもないけどね? お前らが暴走した時に止めるのは僕じゃないと無理でしょ、絶対に。ナス子の安否だって心配だし放っておけないよね」
「姉さんに会いに行くの?!ボクはいつでも準備出来てるよ!! ほらバットも持ったし!!」
「十四松兄さん怖っっ! どんな感じで会いに行くつもりなの?! まるで借金とりとかヤンキーのそれだよね、その武器!」
バットをブンブン振ってどう押し入るかはわからないが、まるで強盗のような立ち入りをしようとしているであろう十四松にトド松がすかさず突っ込みを入れる。