第53章 【微エロ・逆ハールート】欲張り
カラ松はナス子のスケジュールを唯一知っている人物だが、ナス子が休みの日にどんなにマンションへ通っても、部屋に上げてももらえず、チャイムを鳴らしてもやはり兄弟達と同じで反応すらなかった。
「んだよぉ、逃げられたら告白どころじゃないよね!? つか何? 何でアイツ逃げてるの? 俺に惚れられたってスッゲェ光栄な事だよ?! だって俺カリレジェお兄ちゃんだよぉ? 俺がアイツなら間違いなく惚れるよね! 抱いて欲しいって思うよね?! ねぇ?!」
「あのなぁ! 何でお前が選ばれて当然みたいになってんの?! 普通は真面目で常識人、就職する可能性だっていっちばん高い僕! そんな将来有望な僕を選ぶでしょ! それに僕ならお前ら以上にアイツの事理解してる訳だし、惚れるなら僕に惚れてるよね絶対に」
実は就活冊子に目を通したフリをしていただけのチョロ松は、床に冊子を置くと自分もと参加する。
「それを言うのなら俺も参加させてもらおう、お前たちは惚れる惚れると言うが・・・俺はその逆も叱り! ナス子を愛している!! だからこそ、winwinの関係で愛し愛されるまるでアダムとイブのような関係に━━━━━━━」
「ア゛ァンクルァ!!! いちいちそのクソ顔ちょいちょいキメてくんのムカツクんだよ、だぁってろクソ松がっ!!」
「グハッ!! 目がっ、目が━アァァア」
一松が我慢できずにカラ松のサングラスごと瞳に向け指先を勢いよくブチ当てるとサングラスは粉々に砕け、カラ松の瞳に指とサングラスの破片すらもブチ刺さる。
痛みに転がる次男を余所に兄弟達の無意識松会議が続く。
「で も さー、だいたいのぼくの予想は当たってるとして、バレたとしたら何でナス子姉は逃げるのかなぁ? ・・・それってさ、もしかして姉さん自身も僕らの事、意識してるって事じゃない?」
「あー! 薬の時の姉さんの帰り際の顔、真っ赤だったもんねぇ~、はー・・・可愛かったなー、会いたいなあ」
末っ子の言葉にウンウンと首を縦に振ると、ダボダボの袖を口に当て目を瞑りあの日の光景を思い出す五男。