第53章 【微エロ・逆ハールート】欲張り
しかし不思議な事がある。
ナス子は布団に横になり寝がえりを打つと、うっすらと目を開け自分の心の中にいる人物の顔を浮かべながらその名をボソリと口に出した。
「・・・おそ松・・・カラ松・・・チョロ松・・・一松・・・十四松・・・トド松・・・」
6人・・・そう、6人なのだ。
なんて自分は強欲なのだろうと今度は枕に顔を埋める。
「あ゛ああぁ、もうっ! どうしてえぇえ・・・私はやっぱり馬鹿なの? 馬鹿なのか?! それとも欲しがりさんだったのか・・・いやいや、欲しがりとかもうそういうレベルじゃないよね・・・うぐ~」
好き、なのだろう。
愛しい、のだろう。
もうこの感情は幼馴染でも、弟でもないのだ。
こういう展開、漫画や昼ドラなどで見るパターンではよくあるのではないだろうか?
しかも自分が好きかもと思った相手全員が自分の事を好きかもしれないという、なんという恋愛ゲームお決まりパターン。
全員を攻略して一人一人の告白を受け、EDを迎えるというパターンなのか。
だがしかしここはリアル、そう。
現実世界だ。
いくらゲームのような展開であっても、なんら選択肢を間違えばロードして続きからやり直す事は出来ない。
「眠れないよぉ・・・ミケ子ぉ~」
枕元の可愛い愛猫に顔をくっつけてみると、一声みゃあと鳴いた。