第51章 【十四松ルート】ジャンル名:十四松にハマる
ピピピピピピ・・・
スマホのアラームの音がする。
まだ意識もはっきりしないボーっとした頭のまま、手を伸ばしスマホを探そうと上に横にと目を瞑ったまま手を動かすと暖かで柔らかい感触がした。
「ん?」
「・・・グー・・・グガー・・・・・・」
横を確認し目を開けて見ると、枕のすぐ隣に十四松が気持ちよさそうに眠っている。
目を見開き息が止まりそうになるも、一瞬ですぐに声が出た。
「・・・・・・わぁぁっ、びびったぁ! 近い、近いよ十四松!」
旅行の日を思い出しながら、またドキリした心臓の音に反応しないよう意識を逸らすと、起きない十四松を上半身だけ起こして見下ろす。
眠っていても十四松の顔は笑顔なんだなと思うとやはり笑ってしまう自分がいる。
一緒にいて癒さるし元気になる相手・・・。
昨日仕事で疲れて帰ってきて、寝ようと思ったら急に十四松が来たからビックリしたが、そういえば寝る前も十四松とミケ子の仕草を見て笑っていたなぁと言う事に気づく。
「十四松は私を笑わせるのが上手だねぇ~」
独り言を呟き、十四松の頬を軽く抓ってやると、うぐぅと言う声が聞こえるが、起きる気配はない。
「ははっ、可愛いなぁも~!」
ついついワシャワシャしたくなるが、そんな事をしたらまたキスがどーのこーのと言われると思いじっと我慢する。
だが、ふとナス子は思った。
以前十四松が家に遊びに来た時に自分が言ったセリフが頭に過ったのだ。
『そりゃ、好きな人にはキスしたいって思うよ? でもさ、他にもあるんじゃない? 触りたいとか、触ってほしいとか、胸がギューってなったりとか・・・さぁ』
あの時の言葉、今の自分に当てはまってしまっているのではないかと・・・。
あまりに連日の十四松からの大好きという言葉に、当たり前のように返事をしていた自分だが、今思えば自分はどんな意味で十四松にその言葉を返していたのだろう。