第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
「・・・・・ううん、カラ松が謝ることないよ・・・・で、でも、確かめたいことって?」
時間稼ぎをして何とか自分の気持ちを落ち着かそうと、顔は伏せたまま心の中で何故か必死に羊を数える。
そんなナス子の様子には気付かず、カラ松は聞かれた質問に素直に答える。
「ああ・・・・ナス子、顔を上げてもらえないか」
「羊が22匹・・・・羊が・・・えっ?! ちょ・・・・ちょっと待って?!」
ブツブツと羊を数えていたナス子がおずおずと顔を上げると、そこには真剣な顔でこちらを見つめ、何故か正座をしているカラ松の姿があった。
「カラ松? ・・・・なんで正座?」
「ナス子、話がある。真剣に聞いて欲しい」
「は、はい」
カラ松に気圧され、思わずナス子も姿勢を正す。
カラ松はコタツから出て横にズリ寄ると、顔をきっとさせて太ももの上に置いた自分の両手をぐっと握り締める。
「俺は・・・・・・お前が好きだ! 俺の、恋人になってくれないだろうか! ずっと・・・・ずっと一緒にいたいんだ・・・・その相手は、ナス子がいい・・・・っ」
顔を赤くさせ、そう言ったカラ松を、ナス子は信じられないといった表情で見つめる。
色々なことがありすぎて鈍くなっている脳の回転が、カラ松が言った言葉の意味を理解するのを遅らせていた。
「私を・・・・・・レンタル彼女にしたいってこと?」
「え?! ち、違うっ・・・・い、いや、いっそそう受け取ってもらっても構わない・・・! ただし、レンタル期間は俺かお前、どちらかが死ぬまでだっ、料金は俺の残りの人生全てを捧げよう・・・・! あー、途中から彼女ではなく、嫁ないし妻という肩書きに変更になると思うが・・・・、ナス子? なにを笑っているんだ・・・っ」
これが笑わずにいられるだろうか。
あまりの急展開に、相変わらず脳が追いつかない。