第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
「ありがとう一松。ごめんね、運転させちゃって・・・・・・」
「あのままアンタの運転で帰ってたら、今頃俺達ここにはいなかったかもしれないからね・・・気にしなくていいよ・・・・・・部屋まで送る」
駐車場に車を停め、ナス子が降りると一松もその後を追おうと車を降りる。
結局、戻ってきた頃には23時を過ぎ、辺りは寝静まっていた。
「い、いいよ、大丈夫っ! 送ってもらっちゃっただけでも悪いのに・・・・・・みんな心配してるかもしれないし、早く帰ったほうが・・・」
「アイツらが俺の心配なんてすると思う? ・・・まぁ、別の意味での心配はしてるかもしれないけどね。いいから、行くよ」
ナス子の背を押し、半ば無理やり二人で部屋へと向かう。
一松自身も失恋をした直後なのだが、未だ死にそうな顔で無理に明るく振舞おうとする想い人をこのまま放ってはおけなかった。
階段を上り、ナス子の部屋に続く踊り場まで来ると、ドアの前に誰かがしゃがんでいるのが見えた。
その人物は、足音に気がつくと、立ち上がってこちらを振り向く。
「━━━━━━━━ カラ松・・・・・・」
「━━━━━━━━ 一松・・・・・・?」
よく似た顔が2つ、同じように驚いた表情で同時にお互いの名前を口に出す。
二人の声に、ナス子は俯いていた顔を上げ、一松の背中越しにその先の人物を見る。
今の今まで考えていた、ずっと考えていたカラ松が、確かにそこにいた。
「カラ松・・・・・・? どうして・・・」
ナス子が無意識にそう呟くと、カラ松はカフェで会った時のように眉を寄せ、睨みつけるようにこちらを見てくる。
その表情に、ナス子の胸がズキリと大きな音を立てて一度大きく脈打った。