第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
「はっ・・・・・・見事玉砕、ってわけ・・・?」
カフェから場所を車に移動し、静かな車内で助手席に座った一松が嘲笑しながらそう言うと、運転席にいるナス子が小さく頷く。
「だね・・・自分の気持ちに気が付いた次の日に失恋とか、笑っちゃうよねぇ・・・・・・あ、違うか、気がついた時にはもう彼女がいたわけだから、気がついた瞬間に、もう失恋してたったことかぁ! なぁんか私らしいよねぇ」
涙は止まり、少々崩れてしまった化粧はそのままに笑うナス子に、一松は苛立ちを隠せない。
「告白さえ出来てないし、玉砕って言うのかなぁこういうのって・・・・・・はは、何言ってんだろ」
「・・・・・・無理に笑わなくていいんだけど。逆に気になるし、相手は燃えないゴミだよ? ゴミにまで気ぃ遣うことないから」
「またそんなこと言って・・・・・・・・・っ一松は、ゴミじゃないでしょ・・・・・・っごめん・・・・・・」
「・・・・・っ別に、謝んなくていい」
気がつけばスッカリ日は暮れて、暗い車内にナス子の嗚咽だけが響く。
一松は、視線を窓の外へと移して顎の下までズラしていたままだったマスクを元に戻す。
車窓から見える狭い空を見上げても、街灯が明るくて星など見えやしない。
ああ、泣きそうだ・・・・・・。
きつく目を閉じ、パーカーの胸元を指の先が白くなるほどに強く握り締める。