第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
俺は、自分で言うのも何だが、鈍い方だと思う。
何に、と聞かれると困ってしまうが、今あえて言うなら『感情』に・・・・・・だろうか。
だが、別にそれを悪いと思ったこともないし、別段不便に思ったこともない。
むしろ鈍いというのは、自分にとってプラスに働いていることが多かったと思う。
そう、今までは。
時間は少々遡り、先日釣り掘りであった運命的な出来事をきっかけに、俺はそこへと足を踏み入れた。
『レンタル彼女 ~Beauty&Pretty~』
渡されたカタログには、女神のごとく光り輝く幾人もの女性達が。
思わずガタガタと手が震えてカタログを落としてしまったなんてことはないぜ?
俺はいつだってクールなガイ、そう・・・・松野カラ松だ。
とは言いつつも、実際どの娘も可愛くて綺麗な人ばかり。
この最誰でもいい、と伝えようと思った時、一人の女性が目に止まった。
それが━━━━━━━モブ菜ちゃんだった。
「ご指名ありがとうございます、モブ菜です。よろしくお願いします~」
「あ、よ、よよ、よろしくお願いします・・・・・・っ」
んん~? 緊張? 俺の辞書にはない言葉だな・・・。
どもってしまったのは、少し肌寒かったからさ。
俺がこんな感じだったので、普通に会話が出来るようになるまでだけでもかなりの時間を要した。
だが、慣れてしまえばどんな美女でもなんてことはない・・・。
何故なら俺は・・・・・・・・・・・・・・・・カラ松だからさぁ・・・・・・!
「カラ松くんは、どうして私を選んでくれたの?」
「ん?ああ・・・・・・君が一番神々しく光り輝いていたからさぁ・・・それはもうヴィーナスのごとく、直視出来ないほどに、な・・・」
「あはは、そっかぁ~」
通常なら遮られるのが当たり前の俺の台詞も、最後まで聞いてくれる。
モブ菜ちゃんが綺麗なのは本当だが、選んだ理由は他にあった。