第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
「ありがと~、一松。助かっちゃったよ~、はい、これは奢りね! 店員さんにオススメされたの適当に買っちゃったけどよかった?」
「うん。どーも」
買ってきた軽食とドリンクが乗ったトレイを一松に渡し、自分も席に着く。
「スタバァってこういう広い施設内には大体あるよねぇ、後はタァリィズゥとかドートールゥとか? 珈琲好きには助かるなぁ」
「そうだね」
二人でここに来たのはまったくの偶然だったが、一松は内心嬉しかった。
まるでデートか何かをしているようではないか。
二人で買い物をして、二人でカフェに入って二人で会話をしながらのティータイムだ。
いつもなら絶対に入らないようなカフェも、ナス子と二人なら我慢してもいいかとは思えるほどには、一松の心は浮かれていた。
奢ってもらった甘いデザートドリンクが、さらに甘く感じる。
「・・・・・・ねぇ、ナス子」
「ん? なに?」
ナス子を見ると、むぐむぐと口いっぱいにドーナツを頬張り、口の端にドーナツのカスがついている。
てんで年上とは思えない子供のような想い人に、思わず失笑する。
「・・・・・・アンタいくつになったの?ついてるよ、口の周りに」
「ん、嘘っ、どこだ」
ナプキンを使えばいいものを、舌べらでそれを取ろうと口の周りを舐めるナス子。
「それじゃ届かない・・・・・ん、取れたよ」
「あははは、お恥ずかしいっ、ありがと、一ま・・・・・・」
「あら? お姉さんじゃありません?」
一松とそんなやり取りをしていると、ふと横を通ったカップルの女性に頭上から声をかけられ顔を上げる二人。