第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
一松はしていたマスクを顎の位置までズラし、チラリと横目に運転をするナス子の姿を盗み見る。
「・・・・・・今日はやけに小奇麗にしてるね。どういう心境の変化?」
「別にっ、たまにはオシャレもしないとって思って! 私だってまだまだイケてるでしょー?」
「・・・・・・ふぅん・・・まぁ、いいんじゃない」
ナス子の台詞に、若干の違和感を感じた一松だが、その時は特に気にすることもなく、その会話を終えた。
三十分ほど車を走らせると、広々とした駐車場に車を止め、大型スーパーへと二人で入っていく。
端から端が見えないほどの広さで、食料品以外にも衣料品や雑貨等も売っており、ここにくれば大体の物は揃うだろうという程の施設だ。
大きなカートを押し、目ぼしい物をカゴへと入れていく。
「野菜とか果物はあんまり日持ちしないからなぁ・・・冷凍野菜と缶詰でいいか」
「・・・・・中年サラリーマンみたいな台詞だね」
「うっさい! いいの! 便利なんだからっ」
そんなふうにして、ポイポイとカゴの中へと物を追加していくナス子。
気が付けば、とても二人では持ちきれない程の量と重さになり、カートで車まで運んだ後疲れきってしまい、併設されているカフェの一席で少し休んでから帰ろうということにした。