第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
あくる日。
連休の貴重な一日を掃除と片付けで使ってしまったナス子は、しばらくの買い溜めをするべく仕方なく外出をしていた。
だがいつもと違うのは、髪を整え、化粧をし、余所行きの服に身を包んでいるところだ。
なんとなく、いつもの格好で外出をするのは気が引けた。
そうなると少し足を伸ばしたくなり、普段行かない大型スーパーまで行こうと車を走らせると、後姿だけで誰とわかる人物を見つけ、車を道路の脇に寄せて車中から声を掛ける。
「おに~いさん、お出かけですか~?」
突然声をかけられて驚いた相手は、冷や汗をかきながら振り向き、一瞬の間の後、声の主が誰かを認識すると、安堵の溜め息をもらした。
「・・・・・・急に車から話しかけないでくれる? ・・・・・・誰かと思ったわ」
低い声でそう言い、一度逸らした視線をまたナス子へと戻す。
「お前こそ珍しいね、どこへお出かけで? お嬢さん」
「うははは、お互い出不精だからね~。ちょっと遠くの大型スーパーまで行こうと思って」
「あっそう・・・買出し?」
「あったり~。よろしければご一緒しません? それとも何か御用事が?」
「・・・・・・別に、ないけど・・・・・・言っておくけど荷物は持たないからね」
「うぐっ・・・・・・りょ、了解ですっ・・・・・・」
「ひひっ・・・・・・ま、気が向いたら多少は持ってやるよ」
一松は助手席のドアを開け席に座ると、ちゃんとシートベルトを締めて前を向く。
車を出し、目的地に向かう。