第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
部屋に戻り、玄関に鍵を掛けると、その音にミケ子がお迎えをするように奥から歩いてくる。
愛猫を抱き上げてリビングに戻り、綺麗に片付いたコタツに入って横になる。
思い出すのは、先程の光景。
「・・・・・・なるほど・・・! カノジョが出来たから、カラ松は最近ここに来なかったのか・・・・・・!!」
納得した!と言う様に、天井を見つめて手を叩く。
それはそうだ。
恋人が出来たのなら、当然そちらを優先するはずだし、姉のような存在とは言っても、一応女性である一人暮らしの自分の家にカラ松が頻繁に来ていたら、付き合っている方は良い気はしないだろう。
カラ松は優しいから、恋人に嫌と言われたことはするはずがない。
なんでも嫌な顔をせずに聞いてくれるだろう。
「あんにゃろうめ・・・・・・いつの間にあんなに綺麗なカノジョを・・・・・・っ」
カラ松の隣で、カラ松の腕に絡めていた腕は細く、顔は綺麗に化粧がされていたが、スッピンでも美人だろうとわかるぐらい整っていた。
胸も大きくて、腰はキュっとくびれがあって、足はすらりと長かった。
正直、カラ松には勿体無いほどの女性だと思う。
むしろ、あの人に吊り合う男性はそうそういないだろうと思えるほど綺麗な人だった。
むくりと気だるげに立ち上がり、すっかり薄暗くなった窓に映る自分の姿を見る。
適当に手ぐしを通しただけの髪、すっぴんの顔に、汚れたよれよれのスウェット姿。
それを再確認すると、先程あんな綺麗な人の前に、こんな姿で出て行った自分が急に恥ずかしく思えた。
そして何故か、いつもなら絶対に思わない思考が、ナス子の頭を過ぎる。
「・・・・・こんな格好見て・・・カラ松はどう思ったかな・・・」
実際に何度も見られている姿のはずなのに、どうしてそんなことを思ってしまったのか。
その理由を考えて、その日のナス子の一日は終わった。