第50章 【カラ松ルート】レンタル彼女、始めます
「はぁ、はぁっ・・・・・っ、カラ松・・・・・・!!」
名前を呼び、顔を上げると、呼ばれた人物が振り向く。
ナス子は無意識に笑顔を浮かべ、振り向いたカラ松の元へと駆け寄ろうとしたが、同時に入ってきた視界の人物にその足を止めた。
「━━━━おお・・・・・・シスターじゃないか。どうしたんだ?」
そう言うカラ松のすぐ横では、見慣れない、綺麗な女の人がカラ松に腕を絡ませてこちらを見ていた。
急に現れたナス子に怪訝な表情を見せると、よりカラ松にくっついて形の良い唇を開く。
「カラ松くん、この人だれ? 知り合い?」
「ん? ああ、俺のシスターだ。正確にはシスターのような人、だが・・・・・・年上の幼馴染なんだ」
「ふぅ~ん・・・・・・」
じろじろと見定めるような視線に、ナス子は何故か居心地の悪さを感じつつも、ぴったりとくっつく二人の様子から視線を逸らせない。
「どうしたんだ、シスター、そんな格好で・・・・・春とはいえこの時間はまだ冷える。風邪をひくぞ」
「カラ松、えっと、その人は・・・・・・?」
「ん?ああ・・・・・・・この人は━━━━」
カラ松が答えるより先に、隣の女がニッコリと綺麗に笑い質問に口を挟む。
「カラ松くんのカノジョです、モブ菜っていいます、よろしくお願いしますね・・・・・・お姉さん?」
「━━━━━━・・・・・・どうも」
かろうじてその一言だけ返すが、二の句が次げず、三人の間に沈黙が訪れる。
「カラ松くん、行こう?」
「あ、ああ・・・・・・えーと、そういうことだから、特に用事がないなら、またなっ、シスター」
「・・・・・・うん、また・・・・・・」
恋人同士らしく、ぴったりと身体をくっつけ腕を組み歩いていく後姿を呆然と見送るナス子。
その姿が見えなくなるまで、ついぞその場から動けなかった。