第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「一松あのね、私!一松の事好きになっちゃったんだよ」
「わかってるよ」
「そうじゃなくて・・・」
伝えているのに伝わらないもどかしさを感じ、ナス子は意を決して一歩手を前にして一松に近づくと、顔を近づけて一松に唇を重ねた。
「男の人としての一松が、好きになっちゃったんだよ!」
キスされた一松は唖然として目と口を開けたままだったが、突然のナス子からのアプローチに固まると呼吸が止まるのではないかと思う程息をつめた。
「~~~~~~~~~~~・・・・・・!!!」
「ええええぇ?!一松?!いちまぁつ!顔真っ赤なんだけど?!窒息死するんじゃないの?!!」
「~~~~~~ぐっ・・・はっ、ハァハァ・・・死ぬかと思った、本望だけど……」
限界まで呼吸を止めて一松が大きく酸素を取り込むと、ナス子は一松の奇行に笑ってしまうが、それもすぐ表情が解け心配そうに目の前の想い人を覗き込んだ。
「やっぱ気持ち悪いよね、姉だと思ってたやつに急にキ━━━んっ」
一松はもう限界とばかりにナス子を抱き込むと、その場でナス子を押し倒し無理やりに唇を重ねる。
「んっ・・・んん・・・んぅ・・・はっ・・・んっ」
「っは・・・ん・・・ナス子・・・んっ・・・ナス子・・・」
二人は夢中で抱き締め合い、お互いの熱を奪うかのように唇を貪る。
まさか一松からキスをしてくれるとは思っていなかったナス子は、脈を早く打ちながらも愛しい気持ちでいっぱいになった。
そして、ポタリと頬に何かが伝うのを感じてうっすらと目を開けると、一松の目じりから一筋の涙が流れていた。
その様子に、一松の想いをやっと察する事が出来たナス子は一松の首に手を回しながら、もう片方の手で頭を撫でる。