第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「ん・・・ん・・・ふっ・・・」
段々と脳が溶けていくかのような長く深いキスに溺れ、呼吸を忘れてしまうも、やはり酸素を欲して口を開く。
一松の口も同じタイミングで開くと、お互いの舌を掬いあげ絡めとる。
言葉を紡ごうにも、塞がれてしまったお互いの言葉は開く事が出来ず、ただただ行動でお互いの愛しさを伝えているようだった。
「・・・っ・・・ん・・・は・・っ・・・・・、ごめん」
どのくらい時間が経ったであろうか、一松の唇が離れると、突然謝罪の言葉が口から洩れた。
「? 何が・・・ごめ、ん?」
長いキス、そして好きな人からの愛情にトロンとした瞳で一松を見上げるナス子。
「俺なんかがお前を好きになって・・・」
「それなら私なんかが・・・って・・・ふふっ」
「・・・なに笑ってんの?」
一行にナス子を押し倒し抱きしめたままの一松は、近づけた顔を更に近づけるようにナス子の目を覗き込む。
「私達、マイナスカップルだね!」
「・・・・・・・・・はっ、それなら俺も負ける気がしないよね」
「でもマイナスが二つならきっとプラスにもなるよ!! フフフ~」
悪戯そうに笑うナス子の顔を見て、一松も優しい笑顔を向ける。
そして優しく頭を撫でると、気持ちよさそうにナス子は目を瞑った。
「上手い事言ったみたいな顔して・・・・・・馬鹿じゃないの?」
「へへへ、馬鹿だからいいんです!」
「そうだね、馬鹿だったね・・・ふっ」
数週間、ずっと壊れそうだった空洞な心が満たされると、一松は嬉しそうに含み笑いを漏らし、またナス子と唇を重ね合うのだった。